第23話 GET(その7)




Q&Aコーナー

 今回は、一問一答形式で get の用法を解説します。これを読んで、理解をさらに深めてください。

Q.1 get は口語で使われることが多いとよく聞きますが、ビジネス文書や、目上の人などに使ってはいけないのでしょうか? たとえばどんな言葉に置き換えたらいいでしょうか。

A.1 get は守備範囲が広いので、日本人にとっては使いにくい動詞ですね。特に迷うのは、フォーマルな場面で使ってよいのかどうか判断しにくい点です。
 対策として、話し言葉、書き言葉の両面からの攻略をお勧めします。

・話し言葉では、ネイティブスピーカーが使った get の文例を自分も徹底的に真似する。
(ネイティブスピーカーと直接接するチャンスがない場合、映画やインタビューなどを積極的に活用してください)

・書物などに出てくる get はフォーマルな場面で使えると考えられます。どんどんインプットしましょう。(ただし、ペーパーバックなどで、役柄として悪役などに下品にしゃべらせている場合があるので、その場合は真似しないように気をつけましょう)

 これまで説明したように、get を使って様々な動作を表現することができます。このために、会話では get が多用されます。しかし、動作の表現がアバウトになるため、几帳面な人は「くだけすぎ」という印象を与えるかもしれません。
 英語は話し言葉と、書き言葉の差が少ないのですが、get だけは「話し言葉」に多用されていました。しかし、現在ではその差がだんだん小さくなっているように感じています。

 今から30年も前、私が社会人になって2年目くらいの時、米国人との Meeting で Gotcha(ゴッチャ)と言われて、なんだかわからなかったことを今でも覚えています。その後、アメリカ帰りの日本人が Gotcha を連発していたのを聞いて、I got you. と同じ意味であることはわかりましたが、自分では使えませんでした。学校教育の影響で、あまり品のよくない会話的表現という印象があったからです。今でも I got you. はときどき使いますが、Gotcha には抵抗があります。あくまでも個人的な感覚ですが。

Q.2 get は「得る」、give は「与える」と対比して覚えましたが、ちょっとイメージが違うように感じました。get と give は反対語ではないのですか?

A.2 一般に、get と give は反対語としてペアになると考えられていますが、そうすると使い方を誤解してしまうおそれがあります。give と get は、基になる意味、機能が異なります。
 英米人がイメージする give の意味と機能は、「AさんがBさんにCを与える」ことです。

 I'll give you all my love.
 これが give という動詞の基本的な構文パターンです。
 get は「AがBに達する」というイメージです。したがって、give と get とは性質の異なる動詞です。反対語という対(つい)になった関係として覚えないほうがよいと思います。

Q.3 get の過去分詞には gotten と got がありますが、何か違いがあるのでしょうか?

A.3 get の正式な過去分詞形は got のほうです。イギリス英語では gotten はほとんど使いません。したがって、常に got を使っておくほうが無難でしょう。

 アメリカ口語では、gotten が多用されるようですが、アメリカ口語でも以下の2つの場合には、必ず got を使います。

・「持っている」の意味の場合。
 Have you got a pen? (ペン持ってる?)

・「…しなければならない」意味の場合。
 I've got to finish this job today.(この仕事を今日中に終わらせなくてはならない)

<< 第22話へ戻る 第24話へ進む>>

基本動詞をマスターしよう トップへ