第11話 TAKE(その2)
Q&Aコーナー
今回は、一問一答形式で take の用法を解説します。これを読んで、理解をさらに深めてください。
Q.1 「写真を撮影する」という場合、なぜ動詞に take を使うのでしょうか?
A.1 写真を撮るとき、カメラを被写体に向けてシャッターを押します。カメラをつかんで、構えて、被写体のほうに運ぶ(向ける)イメージがあるからです。
写真がない「無」の状態から、ある状態を作り出すという表現は、写真に関しては不自然なので、make a picture という使い方はできません。
Q.2 「薬を飲む」という場合、なぜ
drink や have を使わず、take を使うのでしょうか?
A.2 薬はたいてい包装してあるか、瓶に入っていますね。それをつかんで口に運んで飲むイメージなので、take
を使います。薬が口から入って体の患部に運ばれてゆくイメージがわいてきますが、それは考えすぎかもしれません。
medicine が明らかに液体とわかっていて、一度にある程度の量を飲むときには、drink を使えるかもしれませんが、それ以外の場合には使えません。単に
medicine といっているときは、drink は使いません。
have には「食べる、飲む」という意味がありますが、have a breakfast、have another cup
of tea など、いつも食べているか、自分が努力しないで食べられるものに使います。
薬の場合は、錠剤の包装を手でといて口に運んで飲むので、take(つかんで運ぶ)のほうがふさわしいのです。
Q.3 take
a chance といった用法がありますが、抽象的なものでも「つかみ取る」のイメージは有効なのでしょうか?
A.3 take は、たいていは体の具体的な部分でつかむことに使いますが、頭を使って(考えて)つかむことにも使えます。take
his advice(彼の忠告にしたがう)などがその例です。
余談ですが、欧米の神話には chance の女神が登場します。この女神は頭の前には豊かな髪がありますが、後頭部には髪がありません。このため
chance は前からは捕まえることができるけれど、通りすぎたあとにはつかむことができません。それで、「chance は早めにつかめ」と言うときに、「chance
の前髪をつかめ」という言い回しを使うことがあります。
Chance is a goddess with all of her hair in the front, so you
had better grab on when she goes by (because there is no hair
in the back to grab on to so you will miss your chance).