第3話 HAVE(その2)




 have には、前回解説した「所有・付属」のほかに、「使役」「助動詞」の機能があります。それぞれ、詳しく解説していきましょう。

●使役の機能

 学生時代、「A has B + 動詞」は使役用法と習いましたね。例えば、I had her do the work.(彼女にその仕事をしてもらった)などです。

 have のほかに、get や make も使役動詞の機能をもっていますが、多くの人はこれらの使い分けができていません。次の例で、違いをイメージできるでしょう。
 あなたの部下に、素直な秘書のXさん、やり手だけどちょっと気をつけないとぷいっとしてしまうYさん、問題が多くいつも反抗的なZ君がいたとします。同じ仕事を依頼するのでも、相手によって have、get、make を使い分ける必要があります。

 ・I had X do the work.
 ・I got Y to do the work. 
 ・I made Z do the work.

 have は「これやっといて」「はい、わかりました」というイメージ。「当然やってもらえる場合」に使います。
 get の場合は「申しわけないんだけど、そういう理由なんだ。これやってくれるかな」「仕方がないですね、今回だけですよ」というイメージ。
 make の場合は「これぐらいのことはやってくれよな。今度もやらなかったら人事に言って左遷するからな」と、強引にやらせるイメージです。

<have+物+動詞の過去分詞形>
 ・I had my car repaired.(車を修理してもらった)
 ・He had his shoes shined.(彼は靴を磨いてもらった)

<have+物+ ... ing(進行形)>
 ・I had the water running.(水を出しっ放しにした)

●助動詞の機能

 「助動詞の機能」は、Have you ever been to France? のように、過去分詞を伴って完了形を作る用法です。完了形は学校で習ったけどよくわからない、という人が多いと思います。以下の用法を頭に入れてください。

ちょうど終了した(完了)
 ・I have just finished my homework.(宿題をちょうど終わらせた)
 I finished my homework. の場合、終わらせた時間の意識よりも、終わらせたこと自体に気持ちがいっています。

…したことがある(経験)
 ・I have been to London and Paris.(ロンドンとパリに行ったことがある)
 ロンドンとパリに行って現在はここにいる、という意味です。She went to London. の場合、行ったという行為を表します。She is in London. の場合は、現在ロンドンにいることを表します。

ずっと…している(継続)
 ・He has been playing computer games since 6 o'clock.(彼は6時からずっとコンピュータゲームをしている)
 付き合っている相手と電話で話しているときに、I'm thinking of you.(きみのことを考えているよ)と、I've been thinking of you. (きみのことをずっと考えていたんだ)とでは、どちらを言ってほしいですか。もちろん I've been thinking of you. でしょう。

時間の前後関係を明確にする
 ・I ate dinner after my husband had come home.(主人が帰宅してから、夕食をとった)
 英文のメールを書くときに、現在形と過去形だけではどうしても表現が単調になります。メールの場合、「ああして、こうして、こうなった」というふうに、物事の発生順に記述することが多いですね。
 返事が遅れて、なおかつ断るときには We have been discussing your recommendation for the past two weeks. However, I'm sorry to inform you that we cannot accept your offer. などと完了形の継続表現を使うと「ずっと努力してきたんだけど」という誠意が伝わるはずです。

<< 第2話へ戻る

第4話へ進む>>

基本動詞をマスターしよう トップへ